4月から新しくレッスンをスタートした、
保育園年少の生徒さん。
とってもお話が上手で、
お歌が大好きな女の子です。
いろんな出来事を話してくれて、
そのたびに私の心も
ふんわりあたたかくなります![]()
ときにはピアノに
気が乗らない日もありますが、
実は、こういった様子は
どのお子さんにもよくあること。
この時期の子どもたちは、
「いまはこれがしたい」
「これはしたくない」
と気持ちがはっきりしてきて、
ときに全身で
「やりたくない」
を表現することもあります![]()
レッスン室に
入ってきたときの挨拶のトーンで、
なんとなくその日の
気持ちが伝わってきます。
この日、Yちゃんとのレッスンで
まずはお気に入りの
ボール遊びからスタートしました![]()

(ボールを使ってビートの活動)![]()
私は、ピアノの前に座らせるよりも、
まず“心の距離”を近づけることを
何より大切にしています。
信頼関係があってこそ、
音楽の時間は心地よいものになります。
宿題の曲に取り組もうと誘ってみると、
Yちゃんが
「前に花丸をもらった曲が弾きたい!」
とにっこり。もちろんOKです。
一緒にその曲を楽しみました![]()

すると今度は、
「かたつむりを歌いたい!」
というリクエスト![]()
一緒に歌って、
絵本を読んだり、動物に変身したり…。
ピアノにとらわれず、
自由に音楽とふれあう時間が
広がっていきました。

(歌いながら太鼓を鳴らすYちゃん)
しかし、
新しいことにチャレンジしようとすると、
ふっと気持ちが離れてしまう
瞬間もあります![]()
こちらが「いい経験になる」
と思ってすすめたことでも、
子どもが「やらされている」と感じた途端、
心の扉がすーっと
閉じてしまうことがあるのです![]()
そんなときは無理に押しつけず、
「今はまだ、心の準備中なんだね」
と受けとめています![]()

大切なのは、
“うまく弾けること”ではなく、
「ここは安心できる場所」
「先生は自分の気持ちをわかってくれる」
と思えること。
その土台ができて初めて、
ピアノへの興味や意欲が育ち始めます。
たとえピアノに向かわなかった日でも、
「椅子に座れたね」
「こんにちはが言えたね」など、
小さな“できた”を見つけて大いに褒めることが、
自信につながります![]()
そんな声かけが、
「またやりたい!」という
気持ちを育ててくれるのです。

実際、今教室に通っている
生徒さんたちも、
最初から順調だったわけではありません![]()
ピアノの前に座れなかったり、
レッスンを嫌がってしまったり、
気持ちが向かない日もたくさんありました![]()
それでも、
ひとつひとつ、
その子のペースに寄り添いながら
丁寧に続けていく中で、
信頼関係が育ち、
少しずつ自信が芽生えていきました![]()
今では、
コンクールやピティナ・ピアノステップなど、
教室のイベント以外でも自ら
「やってみたい!」
と手を挙げるまでに
成長している子もたくさんいます![]()

“弾きたくない”の奥には、
「間違えるのが嫌」
「今日は気分じゃない」…
そんな、
まだ言葉にできない
“本当の気持ち”が隠れています![]()
それを見逃さず、
年齢や性格に応じて、
必要な場面では
指導者が主導権を持ちつつ、
静かに寄り添ってあげること。
それこそが、私たち大人にできる、
何よりのサポートなのかもしれません。
これからも、
そんな子どもたちの気持ちに耳をすませながら、
「音楽との出会いの時間」を、
ひとつひとつ丁寧に
紡いでいきたいと思います![]()


